アーノンクールの後ろ姿
ジャケット写真が印象的です。郊外を散歩する後ろ姿・・・
ベートーベンは、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットをよく散歩したそうです。このジャケ写真がどこで撮られたのかわからなかったのですが、ハイリゲンシュタットの散歩を意識しているのでしょうか。そして、後姿は先に旅立つという意味で、ついてきてって感じなんでしょうか。どこかの展覧会で、ハイリゲンシュタットを散歩しているベートーベンの絵を見たことがあります。シュミットという画家でしたが。前向きに歩いていましたよ。後ろ姿じゃ、べとべんかどうかわからないですものね(笑)
今一度ウィーンに行きたいのは、べとべんのお墓とハイリゲンシュタットを散歩したいというだけなんですけどね。まぁできれば留学したいなぁ。
さっきから話しているジャケットは、一昨年お亡くなりになりました、ニコラウス・アーノンクールの最後のライブ録音だそうです。2015年に引退を宣言して、このライブが最後とか。父が予約して発売日に購入したCDですが・・・今年になってから私は聴きました。よかったですよ・・・もっと早く聴いておくべきでした。内容については、特にありませんが、ここの弦はいいですね。合唱も素晴らしいです。
現代的にみれば、宗教曲ではありますが、ミサ曲ではありませんね。バッハのように新しい教会のための新典礼曲を作ったわけでもないでしょう。 ベートーベンは、ボン出身ですが、人生の殆どをウィーンで過ごしています。ウィーンはご存知のように、音楽の街ではありますが、文化としてその底流にはカトリック文化が脈々と流れていると思います。
ミサ・ソレムニスとは、荘厳ミサのことですよね。司祭が読み上げる典礼文に対して、その間に音楽を挟んでいくタイプですね。ていうか日本の普通の教会では殆どその形式ですよ。歌ミサは少ないようですよ。
キリエ、グロリア、アレルヤ、サンクトゥス、アニュスデイなどは、現代でもごミサの最中に歌われています。かつては世界で同じ歌だったのですが、第2バチカン公会議の改革によって、ミサが現地化されることになり、日本でも日本語化され、歌も日本語の歌が作曲され、採用されました。高田さんや新垣さんなどのカトリック作曲家が作ってくださったんですね。グレゴリア聖歌やラテン語はお蔵入りになりました。
キリエは「主よあわれみたまえ」だとか、グロリアは「栄光の賛歌」などに変わりました。
これは現在使われている典礼聖歌集です。アマゾンで買えるなんて驚きました。
高田さんとか、作曲家の名前はイニシャルで表されているので、わかりにくくなっています。
これに対し、お蔵入りになったのが、カトリック聖歌集です。小さな黒い表紙の本です。流石にアマゾンではないようですね。
何回か東京のグレゴリオ聖歌による司教荘厳ミサに参列したことがあります。
これ、全部ラテン語でグレゴリオ聖歌であげられるミサなんです。
恒例の脱線タイム終了~
べとべんは、ミサ用の宗教曲として作曲したようではないですね。第9にみられるような普遍的な精神性というか、カトリック文化の土台の上に築かれた、ベートーベン独自の理想というか・・・人類への愛、理想の世界を音楽で表現したというべきか。ウィーンが育み産んだ果実のような気がします。そして、アーノンクールもウィーンの人です。ますますウィーンが好きになります。
昨日の記事にあったのですが、この前亡くなったパパブッシュ元大統領が、ずっとフィリピンの貧しい少年に経済的援助をキリスト教団体を通じて行っていたという話です。文通付ですね。戦争屋だと思っていましたが、根底にはキリスト者としての精神をもっているんですね。しかも、亡くなるまで秘密だったし。
どこかの首相みたいに、自分はお金を出したくなくて、寄付を募って全然集まらなかった、なんかより、百万倍立派です。
日本人は、ノブリスオブリージュとかないですよね・・・